建築の設計で模型を作る時は、適切なスケールを決めて制作します。住宅の場合、外観の様子と内部の様子両方がわかって、ほどほどの大きさということで1/50というスケールがよく使われます。外観のスタディには1/100など。インテリアの模型だと1/30くらいじゃないと細かいところが作り込めない。逆に、もっと大きな規模の建築だと、1/200~1/500などの、計画にみあったスケールの模型が制作されます。
なぜ、この前置きかとういうと、先日訪れた江戸の町並みを残す佐原のまちで、スケールアウトしたお雛様を発見したからです。店先からみつけて、ぎょ!!
よく写真をご覧ください。後ろにあるのは、柱、です。手前にうつっているのは、イスの背もたれ。なんと、原寸、1/1スケールのお雛様。等身というわりには小ぶりにも感じるので、少し小さなスケールかな?でも迫力の大きさ。品のあるお顔立ち、御衣装のおちついた色合い、ひな人形という型で端正に作られているので、この大きさに見慣れてしまうとすてきなお雛様です。
ちなみに、享保雛と書いてありますが、アンティークではなく、昨年制作されたものだそうです。でも、ご衣裳の裂地は時代物だそうで、どうりで、全体の雰囲気が古びた感じと新品の感じが同居していたわけだと納得しました。
(享保雛とは、江戸時代の享保年間から流行したスタイルで、大きなものは80センチくらいのものまであったそう!です。)
自宅の収納が飽和し、コントロール不能となってきたため、収納家具を追加することを決定。入れたいものはプリンターと書類関係、窓の腰の部分にぴったり収めたいという制作条件がきまっていたので、既製品ではなく自作することにしました。自作とは、発注するのではなくて、文字通り自分たちで制作する(!)、ということでございます。
うちの相方は、授業の実習で家具を作る指導もしていたりするので、今回のようなシンプルな家具はお手の物。作業の流れをほぼお任せし、私は助手をさせていただきました。
工房をおかりして、土日で制作し、本日午前中にプレス機から出したところ。大きな箱の中の2つの小さな箱に、キャスターと扉をつけて塗装を施して完成となります。
素人が自作で手間をかけずにざっくり手っとり早く作るには、小口はきりっぱなし、箱に組む時に、ビス止めというのが定番(?)ですが、今回は小口はきれいにしたい、ビスがみえるのは嫌だというわたしのワガママで、ビスケットジョイントという細長いダボのようなジョイント材を使って箱型に組んでいき、小口はテープを貼って処理をしました。(このあたりは、夢中で作業していたので写真撮り忘れました。。)
シナのランバーコアはこの大きな機械でカットします。定規を切りたい寸法に合わせて材を置いてスイッチをポンと押すと、後は自動的にきれいにカットしてくれます。
箱が一つ、組みあがったところ。
もうひとつの箱。巨大なクランプでしっかり固定します。
これらをプレス機で押えて、接着剤がしっかり固まるまで固定します。
さて、ほぼほぼ出来上がった状態ですが、残りの作業は、プリンタを乗せるキャスターキャビネットの扉付けと塗装。しばらく作業日がとれないので、完成はもう少し先になりそうです。
先日お伝えした家具の設置完了後の写真です。制作は、この家を新築した時の造作家具を担当していただいた、ニシザキ工芸さん。
なるべく建築と一体化して存在感を少なく扉を閉めてすっきりとさせる見せ方と同時に、いちいち扉をあけて閉めるというアクションはどうしても面倒くさくなりがちなものなので、使っている時は開けっ放しにできるような扉のシステムを検討しました。
下の段の中央2枚の扉はスライドして開きます。単純な引き戸とは違って、スライド丁番が引き戸のように横に動くといったイメージのドア金物(モノフラットリンクスヒンジ)なので、扉がしまったときは、面がフラットなのです。お施主さまと相談を重ねて、子どもたちが将来小学校に上がった時に、家にいる間は開けっ放しでランドセルや教科書、プリント類や個人の持ち物をここにしまって、夜寝る時、朝学校に出かけるときはきちんと扉をしめる、という使いかたを想定しました。(ここのお宅は、リビング勉強にする予定だそうです。)
上下の大きな白いボックスの中間の棚は、アクリルを入れて飾り棚としています。
この棚には、ご夫婦が趣味で集めた小物達が陳列される予定。棚板は、室内の木部で使われているシナ突板と色をあわせて、濃いこげ茶のオイルステインです。奥の壁のグリーンは、部屋の中やルーフテラスの植物グリーンたちとあわせたいというご要望で選んだカラーです。あまり詰め込みすぎると、せっかくのグリーンがみえなくなってしまうので、、、、少し余裕をもって飾りましょう!!
作っても作っても足りなくなっていくのが収納。適切な容量を確保したら、後はモノの量をそれに納まるようにコントロールしていかないと、家の中は無法地帯と化していきます。無法地帯ができることが嫌で今回家具の追加を依頼してくれたお施主様。今回制作させていただいたこの家具が要望にそえることを願っています!
以前設計した住宅のお施主さまから、造作の家具をおねがいしたいと連絡があったのは、昨年の10月。家が完成した時から2人も新しい家族が増えて、皆の持ち物の定位置をつくりたい、とのことでした。打ち合わせを重ねて、制作を依頼し、本日取り付けです。
いまは、まだ保育園と生まれたての2人の兄弟ですが、今はリビングを覆い尽くすおもちゃたちをしまう場所として、小学校にはいったら、ランドセルから教科書やプリントなどをしまう場所になります。
取り付け完了後の全体像は、また後ほど。
うちの事務所がオフィスシェアをしている204建築の名物ワークショップ、「茶室を作ろう!ワークショップ」が始動しはじめました。毎年、GWのあたりに開催されていて、年明けくらいから徐々に打ち合わせが始まります。
いままでのワークショップの様子は、こちら。
http://204kenchiku.blogspot.jp/
メンバーが各々、身近な材料で空間をつくりだすアイデアをもちより、スタディと試行錯誤をくりかえして、練り上げていきます。最初の打ち合わせの時は、毎回どうなることやら、、、、です。
先週、引き渡し間際でバタバタしていたリフォーム、無事完成しました。
今回は、水回りのみを集中的に使い勝手良くリフォームし、間仕切り壁の移動は必要最低限にしぼって短期間でのプロジェクトとなりました。
Before/afterはこちら。
キッチンの配置は基本的に元のままなのですが、中途半端で色のトーンが合わない人工大理石のハイカウンターを撤去して広いステンレスの天板に変更。合わせて対面からの収納もふやしました。カウンターが大きくなった分、ダイニング部分の床面積は少し減りますが、空間の見え方は圧倒的にリフォーム後の方が広いです。
こちらは、洗面室。カウンター天板はウォールナットの無垢板で、オスモカラーのウッドプロテクターを下地に塗って耐水性をアップしたうえで、フロアクリアーの艶消しをセルフペイントしています。
腰壁は、光触媒塗料のオプティマスのセルフペイント。サンプルを見たときから、グレイッシュなグリーンをお施主さんは大変気に入ってくださったのですが、商品名はなぜかアーバングレー。名前のイメージからすると、グリーン味のかかったグレーかなと思い、実物とちょっと違うような気がしました。いずれにしても、色見本をとって確認するということは重要、ということですね。
もうすぐ完成のリフォームの現場。この日は、お施主さんがセルフで塗装をするので、そのサポートに行ってまいりました。リビングダイニングの一番奥の壁、ここはベニヤを全面に貼ってパテしごきまで下地を作ってもらっています。塗料は、先日事務所でも塗装してみた、光触媒塗料のオプティマス。他の壁はビニルクロスの白で、光触媒塗料も白ですが、実物で見ると質感の違いがしっかりでていて、微妙な違いではありますが空間にもたらす影響はとても大きいです。
塗装で重要なのは、下地面の仕上がりとマスキング。しっかり養生をして、プライマーを2回。ベニヤはかなり吸い込むのでしっかりプライマーを塗っていきます。日当たりがよくて、風通しも良く、空気は乾燥しているので、すぐ乾いてくれて塗装日和でした。
オプティマスは、粘度のある、左官材料のような塗料。でも、とても扱いやすくて、お施主さんに好評でした。
本日は、他にも洗面室の腰壁にグレイッシュなグリーンのオプティマスを塗装して、無垢の洗面カウンターにオスモカラーのウッドプロテクターとフロアクリアの塗装まで一気にセルフ塗装をがんばって仕上げられてました。
来週あたまにお引き渡しのリフォームの現場です。
お施主さん立会いのもと、キッチンウォールシステムの金物や、タオルバーの取り付け位置を決める作業をしてきました。
ある程度は、展開図という図面上でサイズとレイアウトを押えて必要な位置と数量のアタリをつけてはおきましたが、やはり実物を前に日常の家事動線を考えながら位置や高さを決めていくのが重要です。
壁にも収納を拡張したいと、バーやマグネットナイフラックを多様します。壁中にバーが取りつく予定。
それにしても、意外と、タオルバーの位置って、難しいのです。
顔を洗ったり、歯を磨いたり、手を洗ったり、お風呂から出たり、使う用途によって必要なタオルの大きさは違いますし、でも設置できる個所には限定がある、という時に、住まう人の普段の生活行動パターンによってどの条件を優先するのか変わってきます。設計者では判断しがたい場合もあるのですね。使い勝手優先でいくと、思いもよらない位置にタオルバーがついちゃったりするのがおもしろいです。
事務所、仕事始めの日に、お土産のお菓子、「かまど」。
お正月特別バージョンで、紅白です。ほんのりピンクがかった赤と、ネガ、ポジの2種類の包装で交互に入っていて、かわいらしい特別感がただよいます。
包装紙の質感と、赤の色合いの微妙なセレクトで、品がよくもかわいらしくも、どぎつくもなる。色や材料の繊細な判断をしていかないと、見る人の気持ちを引き上げてうきうきさせるようなよいものにはならないのですよね。
建築のマテリアルえらびも、いつも真剣勝負です。住まい手がイメージする空間を目指して、カラートーンや材料質感をかさねがさね検討していくことがとても大事です。などといったことをふと考えてしまう仕事始めでした。
ことしも、一年、よろしくおねがいいたします!
奥村と相方の勤める大学の研究室と一緒に展示計画の一部をお手伝いしてきた、「作家とアトリエ展」が20日に茨城県近代美術館でスタートしました。
作品が生まれる場を体感できるような展示構成を考えたいという企画案にご相談にのったのがきっかけで、ほんの一端ではありますが、関わらせていただきました。我々が制作したものは、2つのコーナーです。
チューブに入った絵の具が開発されたことで、戸外での作品制作が可能になった印象派の時代。ピサロが車輪のついた移動可能なイーゼルで戸外で絵を描く姿を写した一枚の写真があります。この一枚から、イーゼルの再現を試みました。また、展示室内でありながら外部空間を喚起させるしつらえを、木の葉をスタンプしたオーガンジーで表現しています。これらは、ピサロが描いた風景からイメージする木立を抽象的に再現したものです。
この、スタンプは、以前のダイアリーでもおつたえした、あの葉っぱたち、です。
もうひとつは、現代アートの田中信太郎さんのコーナーで、アトリエを背景にインタビューに答える映像ブースにベンチを制作しました。これは、以前アトリエに訪問した際にコンクリートブロックと無垢の板材で棚をつくり、フレキシブルな空間をつくりだしていた印象を元に、少しでも田中さんのアトリエの空気感がつたわれば、と思ってブロックと無垢板を使って制作しています。
他にも、作品とそれが生まれた場を体感できる展示がたくさんあります。なかなかない着眼点の展示ですので、お近くにお寄りの際は、ぜひ御高覧いただけるとうれしいです。
展覧会の紹介動画がこちらにあります。
うちの事務所が入居しているシェアオフィス、204建築に、共用の書籍類をいれる棚をオーダーしたものが届きました。もっともローコストな仕様で、ラワンランバーコア、小口切りっぱなし。わりときれいなラワン材で、そのままの素材感がよい雰囲気です。
Notcho’s Workshopさんで作ってもらいました。もともとは白く塗りつぶすつもりでしたが、これなら、クリアとかオイルステインでよいかも、という皆の意見になり、さっそく今日は塗装です。
塗料は、ワトコオイルのホワイト。ワトコオイルは、植物油を主体とした環境にやさしい塗料。さらっとしていてぬりやすく、匂いも比較的ソフトです。刷毛でぬると、吸い込む吸い込む。木地に浸透してどんどん濡れ色になっていきます。すると、木目のコントラストが強くなって、強い存在感が。元の印象とだいぶ変わってきました。
最初はムラだらけでしたが、塗料が浸透しきるとなめらかに。たっぷり塗って20分程オープンタイムをとります。時間が経ったら、拭きとって仕上がり!です。あとは一晩放置して乾燥。
ところで、ひとつびっくりしたことは、これ。↓
南側の窓際に1週間ほど置いていた間に、日焼けをしていて、日の当たっていたところと隠れていたところで色がくっきり分かれてしまっていました。
おそるべし、紫外線。
9月にひきつづき、11月に204建築に新たなメンバーが増えました。親睦もかねて、皆でミーティングスペースの壁を塗り直し。前にこのダイアリーでも紹介した光触媒の塗料を塗ってみました。午前中にプライマーをぬって、お昼の後一度目を塗布。一旦仕事にもどって、午後おそくに2度目を塗る塗る。
塗料は粘度があって、骨材がしっかり混ざっている感じがします。塗装って思うと、薄くフラットな仕上がりをイメージしますが、こちらはどっちかというと、左官材をイメージした方がふさわしいかも。ローラーでテクスチャをつけられてすこし厚塗りの風合いは、左官をDIYで可能にする、と考えた方が楽しい。
陽が落ちた状態でも、白さがまぶしい!です。
オーガンジーに転写された葉っぱたち。うちの相方が教えている大学の学生さんたちが試行錯誤して制作しています。葉脈までリアルに転写された姿と、人工的な絵の具の色で、具象と抽象の間をうまく表現できそうです。オーガンジーは透けるので、いくつか重ねてみると奥行き感がでてとても良い感じ。
これらは、来月、茨城県近代美術館において開催される「作家とアトリエ展」で展示されます。作品が生み出される場、アトリエと作家の関係を感じる企画の展覧会。作品が生み出される場を体感的に感じてもらう展示の仕掛けが随所にあり、そのうちの一つに相方と学生とわたしとで携わっています。
どんな展示になるのか、お楽しみに!