事務所、仕事始めの日に、お土産のお菓子、「かまど」。
お正月特別バージョンで、紅白です。ほんのりピンクがかった赤と、ネガ、ポジの2種類の包装で交互に入っていて、かわいらしい特別感がただよいます。
包装紙の質感と、赤の色合いの微妙なセレクトで、品がよくもかわいらしくも、どぎつくもなる。色や材料の繊細な判断をしていかないと、見る人の気持ちを引き上げてうきうきさせるようなよいものにはならないのですよね。
建築のマテリアルえらびも、いつも真剣勝負です。住まい手がイメージする空間を目指して、カラートーンや材料質感をかさねがさね検討していくことがとても大事です。などといったことをふと考えてしまう仕事始めでした。
ことしも、一年、よろしくおねがいいたします!
うちの事務所が入居しているシェアオフィス、204建築に、共用の書籍類をいれる棚をオーダーしたものが届きました。もっともローコストな仕様で、ラワンランバーコア、小口切りっぱなし。わりときれいなラワン材で、そのままの素材感がよい雰囲気です。
Notcho’s Workshopさんで作ってもらいました。もともとは白く塗りつぶすつもりでしたが、これなら、クリアとかオイルステインでよいかも、という皆の意見になり、さっそく今日は塗装です。
塗料は、ワトコオイルのホワイト。ワトコオイルは、植物油を主体とした環境にやさしい塗料。さらっとしていてぬりやすく、匂いも比較的ソフトです。刷毛でぬると、吸い込む吸い込む。木地に浸透してどんどん濡れ色になっていきます。すると、木目のコントラストが強くなって、強い存在感が。元の印象とだいぶ変わってきました。
最初はムラだらけでしたが、塗料が浸透しきるとなめらかに。たっぷり塗って20分程オープンタイムをとります。時間が経ったら、拭きとって仕上がり!です。あとは一晩放置して乾燥。
ところで、ひとつびっくりしたことは、これ。↓
南側の窓際に1週間ほど置いていた間に、日焼けをしていて、日の当たっていたところと隠れていたところで色がくっきり分かれてしまっていました。
おそるべし、紫外線。
9月にひきつづき、11月に204建築に新たなメンバーが増えました。親睦もかねて、皆でミーティングスペースの壁を塗り直し。前にこのダイアリーでも紹介した光触媒の塗料を塗ってみました。午前中にプライマーをぬって、お昼の後一度目を塗布。一旦仕事にもどって、午後おそくに2度目を塗る塗る。
塗料は粘度があって、骨材がしっかり混ざっている感じがします。塗装って思うと、薄くフラットな仕上がりをイメージしますが、こちらはどっちかというと、左官材をイメージした方がふさわしいかも。ローラーでテクスチャをつけられてすこし厚塗りの風合いは、左官をDIYで可能にする、と考えた方が楽しい。
陽が落ちた状態でも、白さがまぶしい!です。
うちの相方が教える大学の研究室の学生さんと一緒に、アーティストの間島秀徳さんのアトリエに伺ってきました。
霞ヶ浦の湖畔を眺める高台にあるアトリエは、雑誌等でも紹介されていてとても素晴らしい眺望と開放感が大きな魅力です。
晴れわたる空、海のように広がる霞ヶ浦。アトリエを抜ける風!
をイメージしていたのですが、おりしも訪れた日は秋の台風がやってくる前日。。。強い雨と風で遠景が霧でかすんでいる特異な一日でした。(残念)
とはいえ、アトリエや隣接するご自宅の佇まいはとても魅力的で、そこでの作家のリアルな創作活動と生活感を圧倒的なまでに感じるものでした。
最初にご案内いただいたのは、御自宅。三方向にわたって、水平に連続するFIXガラスの窓が特徴的なほぼワンルームの居室空間で、床の高さを変化させることで目の前の風景と視点の関係をコントロールする設計。奥にゆくに従って床が上がり、景色が遠く視点が高くなる。天井の高さも低くなり、よりプライベート感が増します。
部屋の領域を、景色に対する視界との関係で分けていくことと生活の場がうまく組み合わさったすてきなお住まいでした。
いよいよ、お隣のアトリエへ。コルゲート板という、リブのついた鋼板をまげて、ヴォールトとよばれる屋根の形で覆われています。これによって、屋根の材料のみで、梁や小屋組みなどのいらない、大きなスパンを実現しています。屋根には、雨と風をしのぐという究極の二つの目的だけをもたせればよい、ということで、断熱もなにもなく、シンプルな素材と力学的な形状がむき出しになって覆っています。
最近では、大きく外部に張り出したウッドデッキの部分が制作の現場となっているそうです。間島さんの作品は、水を大量に使ったり、画面を傾けて絵の具が重力に沿ってうごく軌跡を作り出すことで制作されているそうで、水の利用や乾燥を促進するという意味において、外は適しているとのこと。
彼方までひろがる水平の景色、その環境の中に浮かぶような水平面で出来上がっていく作品たち。環境がもたらす音や空気の触感、風の流れ、それらすべてを五感で感じながら作品をつくりあげているアーティストの探求心を垣間見せていただきました。
実際、高台のへりに建つご自宅とアトリエは、風雨の猛威がすごいそうです。素晴らしい環境は、相反して自然の脅威と隣合わせなのですね。それも含めて、環境と対峙していくアーティストの強い意志を感じたひと時でした。
間島さん、ありがとうございました。
大学の後輩の新居にあそびに行ってきました。ご主人も同じく大学の先輩で二人で設計した新居です。これまた、大学のほぼ同期の友人3人での訪問。全員、建築の設計に携わっています!
スキップフロアで領域が分けられつつ全体が緩やかにつながっている素敵な空間でした。小さな中庭も隣家との緩衝になっていて、ここに面してダイニングとリビングが配置されています。わんとにゃんと一緒にすむための、心配りもほほえましい。
と、ここまで書いておきながら、写真はこちら。(笑) スイマセン。おしゃべりに夢中で、食べる前の食卓を撮ったのが奇跡的。。
料理はもちより。サラダからデザートまでフルコースです。学生時代は、料理の「り」の字も話題にしてなかったけど、みんな大人になりました。。。
週末に、うちの相方が教える大学の研究室の学生さん数名と一緒に、アーティストの田中信太郎さんのアトリエにお伺いしました。作品が制作される場と建築的空間のリサーチが目的です。
山の中の小さな集落に建つ田中さんのアトリエは、深い緑にかこまれて周辺となじみつつ独自の存在感をもっていました。杉板の下見張りで仕上げられた緩やかなカーブの壁は、それ自体が彫刻作品のような造形性を持っています。
この地にアトリエをかまえて40年ほど。最初はRC造(鉄筋コンクリート造)で凸状の平面形状で平屋のアトリエを作ったそうです。その後、凸の形の両サイドのくぼみ部分にご自分の手で増築を重ねて現在の状況に至っています。なのでアトリエの内部空間にRCの外壁の出窓があらわれたり、外光はほぼ屋根の透明部分(トップライトというよりは、透明部分という方がふさわしい)からの光にたよったりと、外と内が混然とした空間となっていて、それが不思議な居心地良さにもなっています。
「アトリエ内は、フレキシブルがモットー」とおっしゃる通り、棚や、テーブル等の家具はコンクリーブロックを積んだ脚に板をわたした造りで一貫していて、棚には材料や道具、作品のマケットが陳列されています。ただのブロックと板ですが、こうやって並ぶと素材美がにじみ出てくるようですね。
田中さんの作品はインスタレーション展示も多く、ご本人も「どのような空間にどのように展示したいかは常にイメージしています」とおっしゃるように、空間に対するイマジネーションと美意識にあふれた方です。もちろん、アトリエは作品制作とそれに付随する生活の場なので、容易に手に入る材料や簡単に組み立てたり移動できたり解体できる機能性を前提にしていますが、それでも研ぎ澄まされた感覚で創りだされた空間の存在感は強固です。
田中さんのアトリエは、創造のエネルギーが時と共に蓄積した、アーティストの生き方そのものが空間となっているような場所でした。
これからも、お元気で創作活動に打ち込んでください!
同行させていただいた、茨城県近代美術館の永松さん、ありがとうございました。
明日9月23日は秋分の日。昼と夜の時間が同じになる日、ですね。今日も、18時には暗くなってしまっていて、急に秋が深まっている感じがします。
今まで、道路に落ちていた影が、どんどんのびて、壁に落ちるようになっていく分岐点。影の風情も、季節によって大きく変わります。
影の研究をしていた私は、すっかり影の落ち方で季節を感じるようになっています。
こちらは、まだ夏の名残りの影。9月半ばの南禅寺金地院の庭園です。なめらかなベルベットのようなグリーンに降り注ぐ枝の影。ずっとみていると、水底にいるような錯覚にとらわれます。一瞬、異次元の世界に紛れ込んだ気分。すがすがしい。
家型が気になるシリーズ第三弾。
昨日、スパイラルマーケットでやっていた陶芸作家、五月女寛さんの個展で、家型の陶器を見つけました。相方が以前、ネットで見つけて気になっていた作家さん。
小さな家型の陶器のオブジェがたくさん並んでいた会場は、小さな街の世界ができていました。みるからにザ・家型もありましたが、平面的にも立面的にもすこしゆがんでいて、いわゆる家型とは離れつつもオブジェとしての存在感が強いこちらを選びました。壁と切妻屋根、そして窓という要素をぎりぎりの線でアイコンとして繋ぎとめている感じが絶妙です。
右側の花器も同じ作家さんの作品。野の草が似合いそうだな~と、帰り道に道端で摘んだ「雑草」をさっそく活けてみました。(笑)猫じゃらしが、素敵に見える!
と思ったら、作家さん、こんなことおっしゃってるんですね。
「道ばたに生えてるような草花なんかに良く合うんですよ。洋より和のほうが・・・」
やはり!よかった、この使い方で。
先週末、京都にて。
夜の先斗町を歩いていると目につく白地に赤い千鳥の提灯。
千鳥の文様は、なんともいえないかわいらしさととぼけたユーモラスな感じがとても好きです。
以前、提灯の職人さんとコラボレーションして照明器具をデザイン・制作したことがあります。その時も、千鳥の文様をえらびました。伝統的なアイテムや文様の意味や背景を再解釈して、今現在の生活空間に引用してみるとどのような可能性があるのかしら、などと考えてデザインにトライしてみたものです。
浅草の提灯屋さん、大嶋屋恩田さんとのコラボレーションです。
点灯した時にシルエットで浮かびあがる千鳥。らせん状につながる軌跡が水の流れもイメージするように考えました。
ちなみに、まだ在庫あります!コンタクトのお問い合わせフォームからご連絡ください。
話を戻して、京都。川床のある鴨川をみたのは、はじめてかも。
スタバも川床で。
納涼というより、寒かったです。。。。もう、秋だもんね。
家型が気になるシリーズ第二弾。
家型の小皿。森や畑に囲まれたのんびりとしたフィールドにぽつんと建つ素朴なおうち。のどかなストーリーが思い浮かびます。よく和菓子を載せていただいています。
小皿にのっているのは、水戸市南町の和菓子の老舗、木村屋本店の「水戸の梅」。昔ながらの製法で、あんこの控え目な甘さと紫蘇のふんわりとした酸味と柔らかい求肥のハーモニーが絶品です。歴史を感じさせるお店のたたずまいも素敵なのです。水戸の梅は、いくつか作っているところがありますが、ここのが一番!おいしい。^_^
茨城県の近代美術館に、中村彝(つね)のアトリエの復元があります。内部を見せていただく機会がありました。
アトリエには北向きの窓からの安定した光を用います、とよく聞きますが、確かにこのアトリエの大きく北向きに開かれたトップライトからは、部屋全体に淡い光が充満していました。
トップライトに向かう折り上げ天井は、平面的にも高さ方向にも角度を持っていて、光を拡散させています。斜めの天井がトップライトに収束していく造形は、アトリエ空間がそのまま空につながるように感じます。
このアトリエは、画家の終の棲家でもありました。小さな家の中で、アトリエがほぼその面積を占めています。絵を描くことが彼にとってほぼすべてだったことがよく伝わってきます。画家の生活エリアは、南側にまるでアトリエの縁側のようなかたちでリビング兼ベッドルームとなっています。家は、その人の人となりや生き方、考え方をあらわすものなのだなあ、とあらためて感心した次第。
病弱でほとんど外に出ることができなかった画家は、このアトリエである住宅を建てる時にどんな設計打ち合わせをしたのかな??と想像してみてしまった。
このアトリエは一般公開しています。くわしくは、こちらへ。
http://www.modernart.museum.ibk.ed.jp/information/tsune/index.html
IIDのお仲間のHIROBAさんの新しいオフィス。感覚ミュージアムの常設作品「ShadowRays2013」の映像編集をしていただいた映像制作の会社です。IIDの中でお部屋を移動したのですが、とてもうらやましい環境。目の前に緑と木陰がいっぱいに広がって、コンサバトリー(温室)のような気持ちよさ。
素敵な環境でお仕事がんばってください!
オクムラリエスタジオが入居している世田谷ものづくり学校IIDは、第3期のスタートに向けてただいま模様替え中です。204建築も、メンバーが入れかわることになり、2社の事務所さんがお引っ越しされました。
館内いたるところ、荷物の移動や工事の最中で、廊下にはいろんなものがおいてあります。今日、はこんなものにほほえみかけられた。。。
作業台の足たち。木を固定する金具ですね。人間の目は、3つの点や線があると顔と認識する脳のプログラム「シュミクラ現象」が働いているそうです。とはいえ、なにか訴えかけられる感じがせつない。
はにかんだような、控え目だけど意志の強そうなほほえみ。天板をのせたら、見えないところで泣き顔になるのだろうか。。。