Diary

うちの相方が教える大学の研究室の学生さんと一緒に、アーティストの間島秀徳さんのアトリエに伺ってきました。

霞ヶ浦の湖畔を眺める高台にあるアトリエは、雑誌等でも紹介されていてとても素晴らしい眺望と開放感が大きな魅力です。

晴れわたる空、海のように広がる霞ヶ浦。アトリエを抜ける風!

をイメージしていたのですが、おりしも訪れた日は秋の台風がやってくる前日。。。強い雨と風で遠景が霧でかすんでいる特異な一日でした。(残念)

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とはいえ、アトリエや隣接するご自宅の佇まいはとても魅力的で、そこでの作家のリアルな創作活動と生活感を圧倒的なまでに感じるものでした。

最初にご案内いただいたのは、御自宅。三方向にわたって、水平に連続するFIXガラスの窓が特徴的なほぼワンルームの居室空間で、床の高さを変化させることで目の前の風景と視点の関係をコントロールする設計。奥にゆくに従って床が上がり、景色が遠く視点が高くなる。天井の高さも低くなり、よりプライベート感が増します。

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部屋の領域を、景色に対する視界との関係で分けていくことと生活の場がうまく組み合わさったすてきなお住まいでした。

 

いよいよ、お隣のアトリエへ。コルゲート板という、リブのついた鋼板をまげて、ヴォールトとよばれる屋根の形で覆われています。これによって、屋根の材料のみで、梁や小屋組みなどのいらない、大きなスパンを実現しています。屋根には、雨と風をしのぐという究極の二つの目的だけをもたせればよい、ということで、断熱もなにもなく、シンプルな素材と力学的な形状がむき出しになって覆っています。

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最近では、大きく外部に張り出したウッドデッキの部分が制作の現場となっているそうです。間島さんの作品は、水を大量に使ったり、画面を傾けて絵の具が重力に沿ってうごく軌跡を作り出すことで制作されているそうで、水の利用や乾燥を促進するという意味において、外は適しているとのこと。

彼方までひろがる水平の景色、その環境の中に浮かぶような水平面で出来上がっていく作品たち。環境がもたらす音や空気の触感、風の流れ、それらすべてを五感で感じながら作品をつくりあげているアーティストの探求心を垣間見せていただきました。

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実際、高台のへりに建つご自宅とアトリエは、風雨の猛威がすごいそうです。素晴らしい環境は、相反して自然の脅威と隣合わせなのですね。それも含めて、環境と対峙していくアーティストの強い意志を感じたひと時でした。

 

間島さん、ありがとうございました。